ここはニジェールでアラビヤのローレンスではないが、アフリカに来て初めて民俗に対しての文化と誇りを感じた。


ラクダでサハラを越える諦めがついた。
サハラ国境タマナラセットへ向け、これからの難儀と不安を、もうすぐ春が来ると言うより、
一気に夏が訪れる前に、サハラを渡らねばならない事が先にたった。
砂漠の冬は氷も張るし、場合によっては雪も積もると聞くが、夏は一気になり、砂嵐も出会うことになる。


踏み出して、走っると、やがて水平線に囲まれる砂の世界、自転車はかろうじて走り続ける事が出来た。
失速するとスタートが大変な場所であった。
すると、左前方10時方向の彼方から、私めがけて何かが走ってくる。
やがてその姿が目で認識出来るようになると、白馬に乗ってターバンと言うか、全身白装束で正装姿の騎馬の戦士、まさにアラビアの
ローレンスを思わせる戦士。白い馬に飾りを着け、腰に刀をぶら下げ、そして清潔そうな迫力の有るいでたち。
表現としては畏敬を感じるというか、正に武士道の美と言おうか。この1対1の状況の中で、
襲われると言う脅威を与えず、一度自転車の左を後方に駆け抜けると、大きくターンして50メートルほどの間合いを保ち
平走して走る姿は、見事であった。
私の観察を終えたローレンスは、走ってきた方向へと走り去った。

このような文化と言うかその様な生活が、祭りではなく生活として息づいている事にふれ、日本の武士道のような毅然とした振る舞いは
民族の文化と精神の道を感じるひと時として、勇気付けられた。


実は、アフリカに来て色んな民族と生活に出会ったが、民族のもつ文化を誇り高く持つことが結局、お金の文化では人間を保てないと
思うようになっていた。
東アフリカのマサイは、男が草原の小さな雑貨屋に集まって、顔に紅色顔料を塗ったりビーズや飾り物を選んだりする場面に出くわしても
これは血がそうさせると感じた。
アフリカのピグミーは、腰布(木の皮や皮などを編み上げて腰にぶら下げた物)だけの裸姿。
西アフリカでは、カラフルなプリント地の民族衣装など、祭り以外での生活でのアフリカはそれ程多くない。
西洋の文化は、結構奥深くまで届いている

写真 後日挿入
 写真、マサイ・西アフリカの民族衣装